僕らが嬉しい「木育」

株式会社ハルキは、北海道が推進している「木育マイスター」の活動に賛同し、
「木育マイスター道南支部」の窓口を引き受けるなど積極的に木育活動をお手伝いしています。
なぜ、そんな取り組みをしているのか、また「木育活動」から学ばせて頂いていることについて、担当の鈴木からお話しいたします。

はじめまして。鈴木と申します。
私から、ハルキの木育に関してお話しさせていただきます。
まず最初に、ハルキが木育活動に関わることになったきっかけについてお話しします。

今から10年ほど前、北海道庁渡島総合振興局の林務課の方から、「認定こども園が、木育授業で間伐した木材のその後を見たいと希望している。ついては工場見学を受け入れてくれないか」とお声がけいただいたことが最初のきっかけでした。

・・・そもそもなぜハルキにお声がかかったのか、おそらく、当時からハルキでは製材から加工までの一貫体制を持っていたからかなとは想像しますが、正確なことは分かりません(笑)・・・いずれにせよ、ハルキ初の園児の工場見学の受け入れは決まり、当時「なんでもやる係」だった私・鈴木が担当することになりました。

小さな子供たちを工場に迎えるのは初めてのことでしたので、本当に楽しんでもらえのるか、安全性は大丈夫かなど、戸惑うところもありました。とは言っても、せっかく来てもらうなら子供たちに喜んでもらいたいと、見学ルートを検討したり、ちびっ子向けヘルメットの準備などをしていました。そのうち工場担当などのスタッフもワイワイとプランを考え始めてくれ、様々な準備をして当日を迎えることになりました。

結果・・・・・子供たちはすごく喜んでくれました。
巨大な木を持ち上げる重機の迫力に雄叫び(?)をあげる男子がいたり、皮むき丸太が落ちる度に歓声が上がったり、製材の巨大ノコギリの轟音にちょっと身を縮めたり、カンナをかけた板材の手触りに夢中になる女の子がいたり、”出来たて”の壁材の香りに「いい香り~」の声が上がったり、プレカット材の組立て体験をして充実した笑顔を見せてくれたり、チップの山にわれ先にと駆け上がったり!
「楽しい!」を全身で表現してくれました。

そして、彼らの様子を目の当たりにした僕らも、すごく嬉しく思いました。普段、普通に仕事をしている現場をこんなに喜んでくれること、そして、将来を担う子供たちがこんなに感動してくれていることに。

そんな嬉しい出来事を経験してしまうと、もう戻れません(笑)。
もちろん、木育が「メイン業務」というわけではありませんが、いわゆる「普通の仕事」のそばに木育を考えるマインドも控えている、お客さんと一緒になって楽しめる隙(チャンス)を狙っているという感じで、(頼まれてもいないのに)商品と一緒に体験の提案をすることも出てきました。

「木育」からの広がり

ハルキは製材・集成材・プレカットの工場を持つ一介の加工業者ですが、「木育」という新しい切り口を得たことで、新しい方々との接点が増えたことを実感しています。

例えば、最初にお声がけしてくださった道庁をはじめとした行政の方々とのつながりは、通常の製品供給者という立場に加え、「面白さ」「楽しさ」を中心に会話ができる特別な部分もあるように感じます。

また、無印良品さんとの木育イベントでは、その洗練された感性に触れて勉強になったり、デザインを学ぶ学生さんの「今の感覚」での古民家リノベーションに参加したりと、予想だにしなかった分野の皆さんと「木」を創造的に考える機会が持てています。

さらに、木育関係での対応力で信頼を頂けたのだと思いますが、病院や空港の木質化のチャレンジプロジェクトに参加する機会を頂くなど、会社としての幅の広がりに貢献しているかな、と感じています。

将来に向けて

さて、最初のきっかけの話に戻りますが、「木育マイスター」などを通して北海道が提唱する「木育」は、対象は子供に限定していません。子供を含むすべての人を対象にしています。

実は、ハルキがあるこの森町の人口は、このまま何もしなければ50年後には半減してしまうという予想が出ています。そんな寂しい事態を迎えたくはない、そのために何かできないかと考えた時に、ハルキができるのは、目の前の森町の森を守り使っていくことでした。それも、「楽しい」「好き」という気持ちを持ちながら、地道に、大人も子供も巻き込みながら取り組んでいくことが大事なんじゃないかと強く感じています。そして、今話題の「SDGs」にも通じる循環型社会をミクロに森町で実現することには、なんとか貢献できるのではないかと信じています。

とはいえ将来のことを考えるとやっぱり子供たちの存在を抜きに語れませんが、彼らが肌身で木や木に関わる仕事に触れることは、きっと、いや確実にプラスになると信じています。そして、10年後くらいに、木材に関係する職業が憧れの存在になっていたらいいな、なんて野望もこっそり持っています(笑)。

最後に、この、本業とは少し異なる「木育への取り組み」が成り立っているのは、ハルキ本体の「ひとりひとりの適正に合う仕事を、生き生きとやる」「身の丈に合ったことを、責任を持ってやる」という土台があるからこそ、と思います。

木育担当者としてかなり自由な活動をさせてもらっていることをありがたく感じながら、手応えも感じつつ、ますます 自由に! 真面目に! 取り組んでいきたいと思います。


木育マイスター道南支部

 北海道が推進する「木育マイスター制度」の認定者で構成される公式団体。2020年現在18名が所属。支部独自の木育イベントや、企業・団体からの依頼を受けた出張木育を活発に実践中。2019年度のイベント開催回数は71回にのぼる。
ハルキも活動に賛同し、イベントへの社員参加や工場見学の受け入れ等を行なっている。
公式Facebook:https://www.facebook.com/mokuikudounan/